Colorectal Cancer
大腸がん
初期症状/とは/原因/検査・診断(便潜血・大腸カメラ)/治療(早期・進行期)を解説します。
目次
見逃さないで! 大腸がんの初期症状
Early Symptoms
代表的な初期症状を把握し、見逃さないようにしましょう。
血便・便潜血検査陽性
大腸がんでは血便が代表的です。新生血管はもろく、便の通過で出血しやすくなります。赤褐色など便色の異常や明らかな血便がある場合は受診をご検討ください。便潜血陽性の場合は精密検査として大腸カメラを受けましょう。
腹痛
腸管の内容物の通過障害で腹痛が生じます。原因不明の腹痛が続く場合は受診をおすすめします。膨満感や吐き気を伴うこともあります。
体重減少
がん細胞は栄養を消費し、食生活や運動が変わらなくても体重が減少することがあります。1ヶ月で3kg以上の減少はご相談ください。
貧血
病変部からの出血で貧血となる場合があります。めまい・ふらつき・動悸・息切れなどの症状を伴うことがあります。
腸閉塞
病変が大きくなると腸閉塞を起こし、腹痛・吐き気・嘔吐が見られることがあります。緊急手術が必要になることもあるため、すぐにご相談ください。
大腸がんとは?
What is Colorectal Cancer
結腸・直腸・肛門に発生するがんの総称。頻度が高く、早期発見が重要です。
大腸がんは日本でも頻度が高いがんで、男女ともに死亡数の上位に位置します。早期は自覚症状に乏しいことが多いため、適切なタイミングでの検査が重要です。
大腸がんは多くがポリープ(前がん病変)から生じることが知られています。大腸ポリープは主に次の3つに分類されます。
- 管状腺腫・絨毛腺腫
- 鋸歯状腺腫(SSL: Sessile Serrated Lesion)
- 過形成性ポリープ
このうち①と②は、長い年月をかけて大腸がんへ進展することがあります。海外研究では、ポリープ切除により大腸がん発生率が大きく抑制されることが示されています(約76〜90%)。
大腸がんの原因とリスク
Causes of Colorectal Cancer
食生活の欧米化、生活習慣、家族歴などがリスクを高めます。
食生活の欧米化
赤身肉・加工肉の摂り過ぎ、食物繊維(野菜・果物)の不足が代表的な要因です。
生活習慣
運動不足、肥満、飲酒、喫煙は発症リスクを高めます。
家族歴
大腸ポリープや大腸がんの家族歴がある方は、そうでない方に比べてリスクが高くなります。
40歳以上の方へ
大腸がんの発症率は40歳前後から上昇します。定期的な大腸カメラ検査で早期発見・早期治療に努めましょう。大腸カメラ検査の詳細
大腸がんの検査・診断
Examination and Diagnosis of Colorectal Cancer
便潜血検査と大腸カメラ検査を組み合わせ、必要に応じて生検や治療を行います。
便潜血検査
便中の微量な血液を検出する簡便な検査で、自治体のがん検診でも広く採用されています。
陽性の場合
便に血液が混じっていたことを意味しますが、出血部位や病気の特定はできません。陽性者のおよそ約3%で大腸がんが、約30%で大腸ポリープが見つかります。その他、痔・炎症性腸疾患・虚血性大腸炎、上部消化管からの出血なども考慮し、大腸カメラや胃カメラで精査します。
陰性の場合
便から血液が検出されなかったことを意味します。ただし陰性でも病気を完全に否定はできません。腹痛・便秘・下痢などの症状がある場合は、必要に応じて大腸カメラ検査をおすすめします。
大腸カメラ検査
肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体の粘膜を観察します。疑わしい部位は生検(病理検査)を行い、がん化の可能性があるポリープはその場で切除することも可能です。
当院では、鎮静剤を併用し、苦痛の少ない検査を心がけています。検査の詳細は大腸カメラ検査のページをご覧ください。
大腸がんの治療
Treatment of Colorectal Cancer
病変の深達度・大きさ・形状・性状に応じて最適な治療法を選択します。
早期の大腸がん治療(内視鏡治療)
がんが粘膜内〜粘膜下層に留まる早期がんでは、内視鏡による切除が可能です。手術と比べてからだへの負担が少ないのが利点です。
① コールドスネアポリペクトミー(CSP)
高周波電流を用いず、金属製スネアワイヤーで病変を絞って切除します。10mm以下・非有茎性で、拡大観察で腺腫と診断される場合が主な適応です。高周波を使う方法に比べて偶発症(出血など)のリスクが低いことが報告されています。
② ポリペクトミー
高周波電流を用いてスネアワイヤーで絞り切除します。止血効果が期待できる一方、通電時間が長い場合には後出血のリスクが高まる可能性があります。10mm以上・有茎性ポリープに行うことが多い方法です。
③ 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
粘膜下層に粘稠度の高い液体を注入して病変を持ち上げ、スネアワイヤー+高周波で切除します。10〜20mm程度の平坦型・陥凹型病変、早期がんなどが主な適応です。粘膜下層までしっかりと切除できます。
当院では、日帰りでの内視鏡切除に対応しています。
状態によっては、安全性を最優先し提携医療機関での治療をご案内する場合があります。
進行期の大腸がん治療
深部へ進行した場合、周囲の血管・リンパ節への浸潤や他臓器への転移の可能性があるため、手術の適応となります。転移が認められる際は、化学療法(抗がん剤治療)を併用します。必要に応じて、速やかに提携病院へご紹介します。