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Colorectal Polyps

大腸ポリープ

とは/種類/担癌率/増大速度/症状/検査/早期発見・早期治療/切除メリット/切除方法

大腸ポリープとは?

About Colorectal Polyps

病気の基本を押さえ、適切なフォローにつなげましょう。

大腸の粘膜に生じる隆起(いわゆる“いぼ”)をポリープと呼びます。形状はさまざまで、良性悪性があります。良性でも腫瘍性(腺腫)は将来的にがん化する可能性があるため、原則として大腸カメラ検査中にその場で切除(日帰り手術)を行います。

ポリープの段階で内視鏡で切除することで、大腸がんを予防できます(胃のポリープの多くが切除不要なのと異なるポイントです)。

大腸ポリープの種類

Colorectal Polyps

大きく「腫瘍性」と「非腫瘍性」に分類されます。

腫瘍性ポリープ

増大に伴いがん化の可能性を有します。悪性(がん)と、良性の腫瘍性(主に腺腫)に分かれます。大腸カメラ時に切除対象となるのが一般的です。

非腫瘍性ポリープ

がん化リスクが低い〜ほとんどないタイプです。ただし、鑑別が困難な例もあるため、5mm超は基本的に切除が推奨されます。

大腸ポリープの担癌率

Colorectal Polyps

腺腫は大きくなるほど「がん」が併存する割合(担癌率)が上昇します。

腺腫の担癌率は報告に幅がありますが、目安として次のようにまとめられます。

  • 5mm未満 … 約0.5%
  • 5~10mm … 約5%
  • 10~20mm … 約20%
  • 20~30mm … 約25%
  • 30mm以上 … 約30%

特に10mm超で担癌率が大きく上昇します。小さい段階での発見・切除が効率的な予防につながります。

大腸ポリープが大きくなる速度

Colorectal Polyps

腺腫の種類・性質により速度は異なるため、一概に断定できません。

「このポリープはいつからあったのか?」という問いに対し、現時点では明確に答えられるほどのデータはありません。腺腫の種類・性質により増大速度が異なるため、病変ごとに異なるというのが実情です。

また、「年齢が高いほど進行が遅い」という通説は、大腸ポリープや腫瘍性病変には当てはまりません。年齢に関係なく早期発見・早期治療による予防が望まれます。

大腸ポリープの症状

Symptoms of Colorectal Polyps

多くは無症状。部位や便性状により出血(便潜血陽性)が手がかりになることがあります。

ポリープは大きくなって便の通過を妨げない限り自覚症状がほとんどないのが一般的です。S状結腸・直腸など肛門に近い部位では、硬い便が擦れて少量の出血を生じ、便に血が混じることがあります。

便潜血検査は、肉眼でわからない微量な血液を検出します。小さいポリープ盲腸〜上行〜横行結腸など便が柔らかい部位の病変では陰性になることもあります。痔の出血でも陽性化し得るため、あくまで目安の1つです。

大腸ポリープの検査

Examination and Diagnosis of Colorectal Polyps

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は大腸全域の粘膜を詳細に観察できる唯一の検査です。

当院では、丁寧で時間をかけた観察最新の内視鏡システムにより、小さなポリープもできる限り見逃さないよう努めています。切除対象となる腫瘍性ポリープ(腺腫)と判断した場合は、その場で切除(日帰り手術)を行います。切除標本は回収して病理検査を行い、以後の経過観察等を決定します。

苦痛軽減のため鎮静にも対応しています。検査の詳細は大腸カメラ検査をご参照ください。

大腸ポリープの早期発見・早期治療

Treatment of Colorectal Polyps

QOLの維持と治療成績向上のため、症状のない段階での受診が重要です。

早期大腸がん腫瘍性ポリープ(腺腫)内視鏡で切除でき、最小限のリスクと負担で根治・予防が可能です。一方で、早期はほとんど無症状なため、症状がない段階からの定期的な大腸カメラが大切です。

40歳前後から大腸がんのリスクが上昇します。これまで大腸カメラ検査を受けたことがない方は、40歳を過ぎたら一度は検査を受けることをおすすめします。

大腸ポリープ切除のメリット

Colorectal Polyps

観察と同日に治療が可能で、通院・前処置の負担軽減につながります。

大腸カメラでは、病変の観察だけでなく、発見したポリープをその場で切除(日帰り)できます。これにより、別日に改めて治療する必要がなく、食事制限や下剤の前処置1回で完了します。

切除自体は5〜10分程度で完了することが多く、観察のみの場合と比較して大きく時間が延びるわけではありません。

ただし、大きさ・数・形状によっては日帰りでは対応困難なケースがあり、その場合は連携医療機関と協力して迅速に治療へつなげます。

大腸ポリープ切除の方法

Colorectal Polyps

ポリープの大きさ・形状に応じて、適切な切除法を選択します。

当院では主に、以下の方法で切除を行います。病変の大きさ形状により使い分けます。

ポリペクトミー(Hot Polypectomy)

高周波電流を用い、金属製スネアで病変を絞って切除します。止血効果が期待できる一方、熱損傷による後出血などの合併症リスクには配慮します。

コールドスネアポリペクトミー(CSP)

高周波電流を使わずにスネアで機械的に切除する方法です。熱ダメージが加わらないため、後出血などの合併症頻度が低い傾向が報告されています。小型・非有茎性の病変を中心に適応します。

切除の詳細や適応は診察時にご説明し、患者様の状態・ご希望を踏まえて決定します。