Duodenal Cancer
十二指腸がん
非常に稀ながんで、標準治療が未確立。症状・検査・治療の要点を解説します。
目次
十二指腸がんとは?
About Duodenal Cancer
病気の基本を押さえ、適切なフォローにつなげましょう。
十二指腸がんは、胃の奥に位置する十二指腸に発生するがんです。本ページでは、特徴・症状・検査・治療についてわかりやすくまとめます。
十二指腸がんの特徴
Duodenal Cancer
発生頻度が非常に低く、標準治療が未確立です。
十二指腸がんは原因やメカニズムが未解明な点が多い希少ながんです。発生頻度はきわめて低く、胃カメラでの発見頻度は0.01〜0.02%(1万人に1〜2人程度)とされています。
頻度が低いため、最も優れた治療とされる標準治療が十分に確立されていないのが現状です。患者様ごとの病状に応じた個別最適な治療選択が重要になります。
十二指腸がんの症状
Symptoms of Duodenal Cancer
初期は無症状が多く、進行で症状が出現することがあります。
腹痛や違和感
腹部の痛みや不快感が生じることがあります。
通過障害
食物や水分の通過が妨げられ、胃もたれや悪心・嘔吐が生じることがあります。
黒色便
腫瘍からの出血により、黒い便が排出されることがあります。
貧血
腫瘍からの慢性出血に伴い、疲労感や倦怠感を生じることがあります。
体重減少
進行に伴う食事摂取量の低下などにより、体重減少を来すことがあります。
十二指腸がんの検査
Examination and Diagnosis of Duodenal Cancer
診断には内視鏡・病理・画像検査を組み合わせます。
内視鏡検査
発赤調の病変として見つかることが多く、表面の不整な凹凸、潰瘍の合併、正常部との明瞭な境界などの所見を呈します。良性腫瘍(十二指腸腺腫)との鑑別が難しい場合もあり、内視鏡のみで診断確定が困難なことがあります。
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病理組織検査
内視鏡時に病変の一部を生検し、病理組織学的に評価します。十二指腸がんに特徴的な所見が確認できれば診断が確定します。
CT・MRIなどの画像検査
病期(臨床病期)評価のために画像検査を行います。消化管への限局性、リンパ節転移の範囲、隣接臓器浸潤や遠隔転移の有無を総合的に評価し、治療方針を決定します。
十二指腸がんの治療
Treatment of Duodenal Cancer
進行度や全身状態に応じて治療法を選択します。
内視鏡治療
ごく早期で粘膜内にとどまっている場合は、胃カメラを用いた内視鏡治療で病変を切除できる可能性があります。ただし、十二指腸は壁が薄いため、内視鏡治療の中でも偶発症(穿孔・出血など)の頻度が高い臓器です。
外科手術
がんの部位や広がりにより術式は異なりますが、一般に周囲リンパ節を含めて切除します。乳頭部を巻き込む病変では、膵頭十二指腸切除術が選択されることが多く、身体への負担が大きい治療となります。
化学療法
遠隔転移や遠位リンパ節転移がある場合などは、全身治療として抗がん薬による化学療法が行われることがあります。ただし、十二指腸がんは標準治療が確立していないのが現状であり、治療選択には専門医による総合的判断が必要です。