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Irritable Bowel Syndrome

過敏性腸症候群(IBS)

何科/受診ポイント/症状と4タイプ/原因と仕組み/検査・診断/診断基準(Rome III)/治療/食事(FODMAP)

過敏性腸症候群は何科?受診のポイント

What is IBS?

病気の基本を押さえ、適切なフォローにつなげましょう。

過敏性腸症候群(IBS)は、器質的異常がないにもかかわらず腹痛・便秘・下痢などが1ヶ月以上続く状態です。ストレスの影響が大きく、登校・出社のタイミング緊張・負荷で症状が出やすいのが特徴です。

20〜40代に多く、未受診も含めると日本人の約10〜15%が罹患すると言われます。大腸がん等の除外のためにも、大腸カメラに対応した消化器内科の受診をおすすめします。

QOL保護のための受診

症状の放置はQOL低下ストレスの増悪スパイラルにつながります。適切な診断・治療で改善を目指しましょう。

過敏性腸症候群の症状と4つのタイプ

Symptoms of Irritable Bowel Syndrome

チェックリストで振り返り、タイプ分類で特徴を把握します。

このような症状はありませんか?

  • 腹痛・便秘・下痢が続いている
  • 便秘、下痢を交互に繰り返す
  • ストレスで症状が出る/強くなる
  • 急な腹痛でトイレに駆け込むことが多い
  • コロコロした便が出る、排便後に残便感がある
  • 日によって排便回数が大きく異なる
  • お腹がゴロゴロ鳴る/おならが増えた

重大な病気を疑うサイン

  • 血便
  • 便潜血検査で陽性
  • 便が細くなる
  • 体重減少/貧血

4つのタイプと特徴

下痢型

腸の運動過多で水分吸収が不十分なまま排便。1日10回以上の駆け込み例も。男性に多い傾向。

便秘型

腸が狭く通過性が低下。硬い便、残便感など。女性に多い傾向。

混合型

下痢と便秘を交互に繰り返す。不安定で予定が立てにくい。

分類不能型

上記に当てはめにくい。お腹の張り/おなら/腹鳴など、夕方に張りやすい傾向。

過敏性腸症候群の原因とメカニズム

Causes of Irritable Bowel Syndrome

ストレス関与が指摘される一方、はっきりした原因は不明とされています。

ストレスと自律神経の関与

脳がストレスを感じると神経を介した信号が腸へ伝わり、蠕動運動の乱れが生じます。IBSではこの信号が伝わりやすい/腸が反応しやすいと考えられ、腹痛・下痢・便秘などの症状が現れます。免疫の異常、腸内細菌叢、食生活、睡眠不足などの関与も指摘されています。

お腹の症状

  • 腹痛
  • 下痢
  • 便秘
  • おなら/腹鳴(お腹がゴロゴロ鳴る)
  • 残便感

お腹以外の症状

  • 不安・憂うつ
  • 頭痛・めまい・肩こり
  • 食欲不振・不眠

過敏性腸症候群の検査・診断

Examination and Diagnosis of Irritable Bowel Syndrome

問診に加えて必要な検査を組み合わせ、重大疾患の除外と機能性評価を行います。

問診

症状の種類、発現タイミング、生活習慣(とくに食習慣)、既往歴、服用中の薬、ストレス状況などを伺います。

検査

  • 大腸カメラ検査(大腸内視鏡)
  • 血液検査
  • 便潜血検査
  • 尿検査

検査の詳細は 大腸カメラ検査 をご覧ください。

大腸カメラが必須となるサイン

  • 50歳で初めて発症
  • 最近3kg以上の体重減少がある
  • 発熱を伴う
  • 直腸からの出血がある

過敏性腸症候群の診断基準(Rome III)

Examination and Diagnosis of Irritable Bowel Syndrome

機能性消化管障害の国際基準に沿って診断します。

下記のRome III 診断基準を用います。

腹痛または腹部不快感が、 最近3ヶ月のうちの1ヶ月につき少なくとも3日以上みられ、 次の2項目以上を満たす:

  1. 排便により症状が改善する
  2. 発症時に排便回数の増減がある
  3. 発症時に便形状(外観)が変化する(柔らかくなる/硬くなる)

重大疾患の除外のため、必要に応じて 大腸カメラ検査 を行います。

過敏性腸症候群の治療

Treatment of Irritable Bowel Syndrome

症状・タイプに応じて、薬物療法と生活習慣の見直しを組み合わせます。

薬物療法

腸管の運動を調節する薬下剤(腸を刺激して排便を促す)、漢方薬などを使用します。必要に応じて、抗うつ薬抗不安薬を併用します。

生活習慣の見直し

生活リズムを一定にし、十分な睡眠を確保。趣味・適度な運動でストレス解消を図ります。食べ過ぎ・刺激物は控え、原因となるFODMAPを除く食事療法が有効となる場合があります(詳細は「食事(FODMAP食)」参照)。