Barrett Esophagus

バレット食道

逆流性食道炎を背景に、食道下部の粘膜が胃粘膜に置換された状態。がん化リスクに配慮し、年1回の内視鏡フォローが大切です。

バレット食道とは?

What is Barrett Esophagus

食道下部の粘膜が胃粘膜に置換された状態で、適切なフォローが重要です。

バレット食道は、食道下部から食道と胃の境目(食道胃接合部)にかけての食道粘膜が、胃の粘膜に置き換わった状態を指します。

それ自体が直ちに命に関わる病気ではありませんが、食道腺がんの発生母地となり得ることが知られています。適切なフォローアップが大切です。

バレット食道と言われて 食道がんが心配…

Worried about Esophageal Cancer?

関連はありますが、必ずがんになるわけではありません。

バレット食道は、食道腺がん(特殊型の食道がん)との関連が知られています。ただし、すべてががん化するわけではないため、定期的な内視鏡フォローが何より重要です。

推奨: バレット食道と診断された方は、年に1回程度の胃カメラで経過観察を受けましょう。

バレット食道の原因は?

Causes of Barrett Esophagus

主因は逆流性食道炎による慢性的な炎症と修復過程です。

原因は胃酸の逆流によって食道粘膜が炎症を繰り返す逆流性食道炎です。傷んだ食道粘膜が修復される過程で、胃の粘膜が食道下部の粘膜に置換されてしまいます(胃上皮化生)。

関連ページ:逆流性食道炎(GERD)

バレット食道は 無症状の場合もある

Often Asymptomatic

症状が乏しくても、経過観察は重要です。

  • 胸やけ
  • 吐き気
  • げっぷが多い・酸っぱいげっぷ
  • 食べ物が詰まる感じ
  • 喉の違和感
  • お腹の張り

注意: これらの症状があっても無症状のことも多いため、診断後は定期的な内視鏡検査でのフォローが大切です。

バレット食道の検査・診断

Examination and Diagnosis

胃カメラで範囲・粘膜性状を確認し、必要に応じて生検します。

症状の確認ののち、胃カメラ検査(上部消化管内視鏡)を行い、食道下部の粘膜が胃粘膜に置換されているかを観察します。生検(組織検査)は所見に応じて行います。

SSBE と LSBE

  • SSBE(Short-Segment Barrett's Esophagus):置換範囲が狭いタイプ。診断される多くがSSBEで、がん化リスクは低いとされています。
  • LSBE(Long-Segment Barrett's Esophagus):置換範囲が広いタイプ。SSBEと比べてリスクが高く、定期フォローがより重要です。

いずれの場合も年1回程度の内視鏡検査で経過観察することが推奨されます。

当院では、経鼻内視鏡鎮静(静脈麻酔)にも対応し、内視鏡専門医が丁寧に検査します。負担が少ない検査で、継続的なフォローを行います。

関連ページ:胃カメラ検査

バレット食道の治療

Treatment and Follow-up

LSBE を中心に、薬物療法と経過観察を行います。

治療の対象

診断されたバレット食道のうち、置換範囲が広い LSBEでは、食道腺がんのリスクを考慮して、継続的なフォローと薬物療法を検討します。

薬物療法

主に胃酸分泌を抑える薬(医師の判断により選択)を使用し、逆流・炎症の軽減を図ります。これにより、バレット粘膜の拡大抑制、場合によっては範囲の縮小がん化抑制が期待されます。

フォローアップ

年1回程度の胃カメラで経過観察します。所見に応じて生検(組織検査)を行い、粘膜変化の進行や異型の有無を確認します。