Colonic Diverticulosis
大腸憩室症
とは／原因／症状（出血・憩室炎）／検査／治療（出血・憩室炎）
目次
大腸憩室症とは？
Colonic Diverticulosis
病気の基本を押さえ、適切なフォローにつなげましょう。
大腸憩室症は、大腸の壁に5〜10mm程度の袋状の凹み（憩室）が形成される状態です。多くは1cm以下ですが、まれに開口部が2cm超の大きな憩室もあります。
日本では右側大腸（盲腸〜上行結腸）やS状結腸に起こりやすく、高齢者では大腸全体に憩室を認めるケースも増えています。
本ページでは、原因・症状・検査・治療（出血/憩室炎）について解説します。
大腸憩室症の原因
Causes of Diverticulosis
腸管壁の弱化に腸管内圧上昇が加わり、外側に袋状に突出します。
主な関連要因
- 加齢による腸管壁の脆弱化
- 食物繊維の摂取不足
- 腸管内圧の上昇
これらが重なり合うことで、憩室が形成されやすくなります。
大腸憩室症の症状
Symptoms of Diverticulosis
通常は無症状。合併症（出血・憩室炎）で症状が出現します。
大腸憩室出血の場合
- 痛みを伴わない血便・下血が突然出現
- 大量出血では血圧低下・顔面蒼白・冷汗・頻脈などショック症状
大腸憩室炎の場合
- 腹痛・限局した圧痛
- 発熱・悪心・嘔吐
- 進行で限局性腹膜炎／穿孔→汎腹膜炎／敗血症の危険（緊急対応が必要）
大腸憩室症の検査
Examination and Diagnosis of Diverticulosis
憩室の分布・数・合併症の評価に内視鏡と画像検査を用います。
大腸内視鏡検査
大腸全体を観察し、憩室の多さ・分布・合併症の有無を確認します。
画像診断検査（CT／注腸造影）
CTや注腸造影で憩室の有無や憩室炎の有無を評価します。
大腸憩室症の治療
Treatment of Diverticulosis
状況に応じて保存的治療・内視鏡的止血術・血管内治療・外科手術を選択します。
保存的治療
入院し絶食・点滴で腸管を安静に保ち、自然止血を待ちます。
内視鏡的止血術
大腸内視鏡で止血クリップ等を用い、憩室出血の原因血管を物理的に閉鎖します。観察時に既に自然止血し、出血部位が同定できない場合もあります。
動脈塞栓術
血管カテーテルで出血動脈を同定し、金属コイル等で塞栓します。
大腸切除術
上記で止血できない場合、出血している部分の憩室を取り除く外科的切除術を行うことがあります。
大腸憩室症の治療（大腸憩室炎）
Treatment of Diverticulosis
保存的治療からドレナージ・外科切除まで、重症度に応じて選択します。
保存的治療
発熱や腹膜炎がない場合、絶食・点滴と抗菌薬（内服/点滴）を行い、炎症の沈静化を待ちます。
経皮的ドレナージ
腹部超音波（エコー）で膿瘍部位を確認し、体外からドレーンを留置して排膿します。炎症が落ち着いたら抜去します。
外科的切除術
保存的治療やドレナージで改善しない場合、炎症部を含む大腸の外科切除を行うことがあります。
無症状の憩室には基本的に治療は不要ですが、食物繊維の摂取などで便秘を改善し、憩室炎の予防を心がけます。