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Gastritis

急性胃粘膜病変(急性胃炎)
慢性胃炎(萎縮性胃炎)

急な胃の痛み・胸やけ・吐き気から、ピロリ菌関連の慢性胃炎まで。丁寧な診療と内視鏡検査で適切な治療へつなげます。

急性胃粘膜病変(急性胃炎)とは?

Acute Gastritis

病気の基本を押さえ、適切なフォローにつなげましょう。

急性胃炎とは?

急性胃炎は、突然の上腹部痛や吐き気・嘔吐で始まることが多く、時に吐血・下血を伴うことがあります。内視鏡(胃カメラ)では、粘膜の発赤やびらん、浅い潰瘍、出血を認める場合があり、状況に応じて止血処置が必要となることもあります。

急性胃炎の症状

  • 上腹部の痛み・差し込むような痛み
  • 胸やけ・胃もたれ・むかつき
  • 吐き気・嘔吐、食欲不振
  • お腹の張り・胃の重い感じ

すぐに受診を検討すべきサイン

  • !吐血・黒色便(タール便)がある
  • !冷や汗を伴う強い上腹部痛が続く
  • !嘔吐を繰り返し、水分がとれない
  • !めまい・立ちくらみなど貧血症状がある

急性胃炎の原因

暴飲暴食・刺激物・飲酒 感染症・ストレス 薬剤(NSAIDsなど)
  • 暴飲暴食(食べ過ぎ・飲酒過多・刺激物のとり過ぎ)
  • 感染症・食中毒、強いストレス
  • 解熱鎮痛薬(NSAIDs)など薬剤の副作用

急性胃炎の検査

まずは問診で、症状の経過・心当たりの原因・服用薬や既往歴などを丁寧に確認します。必要に応じて 胃カメラ(上部消化管内視鏡) を行い、出血やびらん、浅い潰瘍の有無を評価します。活動性出血が疑われる場合は内視鏡的止血術を検討し、十二指腸に同様の病変がないかも確認します。

胃カメラ検査のイメージ(上部消化管内視鏡)
胃カメラ検査のイメージ

慢性胃炎(萎縮性胃炎)とは?

Chronic (Atrophic) Gastritis

病気の基本を押さえ、適切なフォローにつなげましょう。

慢性胃炎(萎縮性胃炎)とは

内視鏡で観察される慢性胃炎には、表層性・びらん性・萎縮性などが含まれます。一般に「慢性胃炎」と言う場合、 ピロリ菌感染を背景に胃粘膜が薄く弱くなる萎縮性胃炎を指すことが多く、進行すると腸上皮化生を伴うことがあります。

症状

  • 胃の痛み、胃もたれ、むかつき
  • 空腹時や夜間の胸やけ
  • 食欲低下、胃の重い感じ、お腹の張り

原因

萎縮性胃炎の主因はピロリ菌感染で、幼少期に感染することが多いとされています。その他、解熱鎮痛薬(NSAIDs)やストレス、日常的な飲酒などが関与することもあります。

放置すると…がん化のリスク

ピロリ菌による慢性炎症が持続すると、胃粘膜の萎縮や腸上皮化生が進み、胃がんの発生リスクが高まります。除菌治療後も変化した粘膜は元に戻らないことが多く、 定期的な内視鏡フォローが重要です。

ピロリ感染から発がんリスクまでの流れ

  1. 1 ピロリ菌感染
  2. 2 慢性炎症
  3. 3 萎縮性胃炎
  4. 4 腸上皮化生
  5. 5 胃がんリスク上昇

※ 除菌後も粘膜変化が完全に元に戻らないことがあるため、医師の指示に従って定期的な内視鏡フォローが推奨されます。

検査

まずは内視鏡で胃粘膜の状態を評価し、慢性胃炎が疑われる場合はピロリ菌の有無を確認します(血液検査や尿素呼気検査など)。 ピロリ菌陽性の場合は除菌を検討し、陰性の場合は他の原因に応じた対応を行います。 詳細は胃カメラ検査をご参照ください。

内視鏡(胃カメラ)による検査のイメージ
内視鏡検査のイメージ

胃炎の治療方法

Treatment

状態に合わせた治療を選択し、継続的にフォローします。

薬物療法

症状に応じて、胃粘膜保護薬胃酸分泌抑制薬(PPI/H2ブロッカーなど)を用います。 ただし薬のみでは根本的な改善に至らないこともあるため、生活習慣の見直しや原因への対応と併用します。

生活習慣の改善指導

  • 暴飲暴食・刺激物・飲酒の摂り過ぎを控える
  • 消化の良い食事から段階的に戻す(症状に合わせて)
  • 十分な睡眠・規則正しい生活を意識する
  • 急性期は医師の指示で絶食が必要となる場合も
消化に優しい食事のイメージ

ピロリ菌除菌治療

慢性胃炎(萎縮性胃炎)の主因であるピロリ菌感染が確認された場合、保険適用の除菌療法を行います。 除菌成功後も粘膜の変化が残ることがあるため、医師の指示に従い定期的な内視鏡フォローを継続します。

胃炎についてよくある質問

Gastritis

よくある質問

急性胃炎は、自力で治すこともできますか?

食生活の乱れが原因のケースでは、食習慣を整え、胃を休めることで数日で改善することがあります。ただし、感染症や食中毒、ストレス、解熱鎮痛薬(NSAIDs)など他の原因もあり得ます。急性胃炎と思って受診したら胃潰瘍だった、ということもあるため、症状が続く場合は医療機関の受診をおすすめします。

慢性胃炎を放置していると、どうなりますか?

慢性的な炎症は胃粘膜の萎縮(萎縮性胃炎)や腸上皮化生へ進行し、一部は胃がんのリスクになります。症状が軽くても放置せず、早期発見・早期治療を心がけましょう。

胃の痛みがどれくらい続けば、受診すべきでしょうか?

すぐにご相談いただくのが最善ですが、一般的な目安としては1週間です。市販薬で一時的に和らいでも、手放せない状態が続く場合は受診してください。必要に応じて 胃カメラ検査 をご案内します。

「刺激物の摂り過ぎ」とは、具体的にどういったことでしょうか?

香辛料の強い料理、アルコール、コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料、炭酸飲料などが挙げられます。症状のある時は控えめにし、普段から過剰摂取を避けましょう。

ピロリ菌検査で陽性だった場合、必ず除菌治療を受ける必要がありますか?

ピロリ菌は慢性胃炎(萎縮性胃炎)や胃・十二指腸潰瘍、胃がんの要因になります。症状が改善しても、感染が残っている限り根本的な解決にはなりません。陽性であれば医師の指示に従って除菌療法を受けましょう。

慢性胃炎を放置した場合、どれくらいの確率で胃がんになりますか?

個人差が大きく、明確な数字での説明は困難です。重症度やピロリ菌の感染状態、年齢、生活習慣などにより変動しますが、除菌治療の成功で胃がんの発生リスクが低下することが報告されています。診断後は適切な治療と、定期的な内視鏡フォローを続けましょう。