Pharyngeal Cancer
咽頭がん(中咽頭がん・下咽頭がん)
初期は風邪のような症状で気づきにくいことがあります。部位別の特徴・原因・進行・治療まで解説します。
目次
咽頭がんの特徴
Characteristics of Pharyngeal Cancer
病気の基本を押さえ、適切なフォローにつなげましょう。
咽頭がんは発生部位により、上咽頭・中咽頭・下咽頭に分類されます。部位ごとに発症頻度や主なリスク因子が異なります。
上咽頭がん
- 年間約750人が診断
- 60代に多いが若年層でも発症
- 東南アジアではEBウイルス感染が原因・リスク
- 日本では飲酒・喫煙が関与の可能性
中咽頭がん
- 年間約2,300人が診断
- 男性が多い(女性の約4.4倍)
- 従来は飲酒・喫煙が主因
- 近年はHPV(ヒトパピローマウイルス)もリスク
下咽頭がん
- 年間約2,000人が診断
- 男性に多い(女性の約7.8倍)
- 60~80代で多く、進行後の発見も少なくない
- 主な原因は喫煙と多量飲酒
咽頭がんになると、どこが痛い? 初期症状について
Symptoms of Pharyngeal Cancer
初期は自覚症状が出ないこともあります。風邪と似た症状との見分けが大切です。
どの咽頭がんも初期は無症状のことがあります。出現しうる初期症状には以下が挙げられ、風邪と似ています。
- 喉の違和感
- 鼻づまり
- 声のかすれ
注意: 症状が1カ月以上続く場合は、早めに医療機関を受診してください。
初期症状(部位別)
Symptoms of Pharyngeal Cancer
上咽頭・中咽頭・下咽頭で症状は異なります。
上咽頭がん
初期は自覚症状が少ないことが多い
- 頭痛
- 頸部リンパ節の腫れ
- 鼻づまり・鼻血・血性鼻汁
- 耳の詰まり感・聴力低下・中耳炎
- 視力低下・複視などの脳神経症状
中咽頭がん
無症状で胃カメラで偶然見つかることも
- 飲み込み時の違和感
- のどの痛み
- 血混じりの痰
- 片側の扁桃腺の腫れ
- 首のしこり
下咽頭がん
初期は自覚症状に乏しいことが多い
- 声のかすれ
- 首のしこり
- 嚥下困難・嚥下時痛
- 安静時ののどの痛み
- 血痰
咽頭がんの原因は 飲酒や喫煙?
Causes of Pharyngeal Cancer
部位によって主な原因が異なります。
上咽頭がん
- 中国南部などでEBウイルス感染が原因・リスク
- 日本では飲酒・喫煙の関与が示唆
中咽頭がん
- 従来は飲酒・喫煙が主因
- 近年はHPV(ヒトパピローマウイルス)もリスク
下咽頭がん
- 喫煙と多量飲酒が主な原因
咽頭がんの進行速度
Pharyngeal Cancer
進行速度は個々の要因により異なります。
咽頭がんの進行は、以下の要因に影響されます。
- 腫瘍の種類
- 患者様の免疫状態
- 遺伝的特性
- 生活習慣や環境因子
特に喫煙や過度のアルコール摂取は、進行を加速させる可能性があります。
咽頭がんの治療について
Treatment of Pharyngeal Cancer
病期・部位・全身状態に応じて適切な治療法を選択します。
早期咽頭がん
放射線治療や、口から挿入する内視鏡による切除が可能な場合があります。咽頭領域は放射線の反応性が高いことが多く、早期であれば放射線単独で根治できることもあります。
関連ページ:胃カメラ検査(上部消化管の内視鏡診療について)
進行咽頭がん
放射線治療と抗がん剤の併用(化学放射線療法)や手術が検討されます。手術が必要な場合、咽頭・喉頭の全摘が行われることがあり、その際は首に呼吸のための孔(気管孔)を設けます。発声は発声補助機器や食道発声などを用いて行います。
最新の治療
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)や光免疫療法など、がん細胞を狙い撃ちする治療もあります。身体への負担が少ない一方で、対応施設が限られることが課題です。
重要: 咽頭がんは早期発見が鍵です。疑わしい症状が続くときは、早めの受診をご検討ください。